Ruby on Railsでできることを初心者向けに解説【Webアプリの実例紹介】
こんにちは、GeekSalonライターのかずやです。今回の記事では、これからRuby on Railsで開発を行いたい方、そもそもRuby on Railsでどんなことができるのか、知りたい方に向けて、Ruby on Railsでできることを初心者向けに解説していきます!
Ruby on Railsとは?
【概要】Ruby on Railsとは? — Rubyとの違い
「Ruby on Rails」とは、プログラミング言語の“Ruby”で構成されたWebアプリケーション開発用のフレームワークのことです。
プログラミング言語「Ruby」とは、日本のソフトウェア技術者である松本行弘氏が開発した、日本製のプログラミング言語です。オブジェクト指向”型のスクリプト言語に分類されています。
Ruby on Railsの特徴
これからRuby on Railsの特徴について4つ紹介します
- ライブラリが豊富
- バージョンアップデートの速さ
- MVCモデルの採用
- データベースの操作が簡単
ライブラリが豊富
ライブラリとは、汎用性の高いプログラムを再利用できるようにまとめたもののことを言います。例えば、ログイン機能をWebアプリケーションにつけたい場合、基本的にはSession(セッション)という仕組みを用いて、ログイン機能・新規登録のフォーム・ユーザーの判別などを行う機能を実装していきます。しかしRuby on Railsでは「Devise」というライブラリを組み込めば、そういった機能を勝手にアプリケーションに実装してくれるのです。ライブラリを用いると、自分ですべてのプログラムを書き込む必要が無くなり、非常に多くの手間を省くことができるようになるのです。
バージョンアップデートの速さ
Ruby on Railsは比較的早いスピードでアップデートが入り、そのたびに様々な機能が追加されていきます。また日本発の言語のためアップデートが入った場合などの比較的新しい情報でも、日本語で情報を入手しやすい場合が多いのです。
MVCモデルの採用
Ruby on Railsでは「MVCモデル」という設計モデルを利用して、アプリケーションの管理、開発、保守などを行っています。MVCとはM=Model、V=View、C=Controllerの頭文字を取って名付けられたもので、それぞれ別の役割を持ちます。簡単に表すと以下のようになります。
- M:データベースとのやりとりの仲介役
- V:パソコンのページに表示や入出力といった処理をする
- C:どのModelを使うか、どのViewを使うかを決定する。
それぞれに役割を分けることで、作業効率・保守性・クオリティが向上します。
データベースの操作が簡単
Ruby on Railsではアクティブレコード(Active Record)というオブジェクトリレーショナルマッピング(ORM)を提供しているため、他の言語やフレームワークと比較してもデータベースの操作が比較的簡単になっています。大きく分けると以下の3つがあるため、簡単であるとされています。
- CRUD操作
- アソシエーションのサポート
- マイグレーション
CRUD操作とは、データをCreate(作成)Read(読み込み)Update(更新)Delete(削除)する操作のことです。既にRuby on Rails側で用意してくれるメソッド(道具みたいなもの)を利用するだけで簡単に操作が可能になっています。
アソシエーションとは、異なる情報を格納しているデータベースの関係性を示しているものになります。これもRuby on Railsのフレームワークのおかげで簡単にデータの関係性を表すことができます。
最後のマイグレーションとはデータベースの構造を変更するための方法のことを指します。マイグレーションは、新しい機能を追加したり、必要な情報が増えた際などに操作されるものです。この操作もRuby on Railsのフレームワークのおかげで簡単に操作することが可能になっています。
Rubyと他言語との違い
PHPとの違い
Rubyには、Ruby on Railsという独自のフレームワークがあるため、様々な機能・動作を簡単に実行することができます。要するに、Ruby on Railsでは、効率的な開発が可能という点で優れています。しかしながら、PHPは多くのウェブ開発フレームワーク(例:Laravel、Symfony、CodeIgniterなど)が存在し、広範なWeb開発のニーズに対応しています。フレームワークが多いことで、豊富な情報や資源が利用できます。
Pythonとの違い
RubyがWebサービスを始めとしたあらゆる開発ができるのに対して、Pythonは“特に”機械学習の開発に特化しています。(Rubyでも自動化スクリプトなどは可能です)Pythonには「データ解析」「画像処理」「データ分析」などの機械学習向けのライブラリが豊富に用意されています。近年、AIや機械学習の需要が非常に高まりつつあるため、機械学習やデータサイエンティストに興味のある方はPythonを学習することをお勧めします。また、その需要の高まりから求人数の多さ・年収の高さもPythonの方が一歩秀でる結果となっています。
Ruby on Railsを学ぶメリット
Rubyは、初心者でも習得しやすい言語の1つです。この章では、初心者の方がRuby on Railsを学ぶメリットをご紹介していきます。
初心者でも習得しやすい
Ruby on Railsは非常にコードが書きやすく、覚えやすいのが特徴です。コードの書き方のルールも細かく決められているため、定められた書き方通りに書いていくことで簡単にアプリケーションを作ることができます。また、Ruby on Railsは日本発の言語のため日本語の記事が多く、基本的な機能のことなら調べればすぐに分かります。
案件を獲得しやすい
Ruby on Railsはその柔軟さからスタートアップ企業を始めとしたベンチャー企業などで人気の高い言語です。近頃は日本でも案件が増え、単価が高まりつつあります。フリーランスの案件でも、Ruby on Railsを活用したWebサービスの開発が求められることが多くあります。
応用がききやすい
この2つの点において、Ruby on Railsは応用が効くと言われています。
- サービスの変更に柔軟に対応が可能
- Ruby on Railsを学んでおくことで、他の言語も学習しやすくなる
Ruby on Railsでは開発のスピードが速いため、サービスに急な変更や機能の追加が生じた場合でも柔軟に対応することが可能です。
またRuby on RailsはECサイト、SNS、業務システム、ブログ、チャットボットなどのあらゆる分野の開発に長けています。そのため、Railsを一度学んでおけば、その他の言語も比較的習得しやすくなります。
Ruby on Railsでできること9選
これからRuby on Railsでできることを下記の9個で紹介します。
- SNS
- スマホアプリ
- ブログ
- チャットボット
- 機械学習
- WebAPI
- ショッピングサイト
- スクレイピング
- 業務システム
SNS
実は、多くのSNSの開発にはRubyが採用されています。例として、民泊サイト(Airbnb)・ビジネス向けSNS(Wantedly)などの有名な大手Webサービス等が挙げられます。Ruby on Railsを用いることで、ユーザー登録・ログイン・投稿データの管理などで使うデータベースの作成を比較的簡単に作成することができます。
スマホアプリ
RubyMotionという製品を使うことで、iOS・Android・OSXの3種に対応するマルチプラットフォームなアプリケーションを作成することができます。通常の場合、iOSアプリにはSwift、AndroidにはJavaなど、特定の言語を使用することが多いのに対し、RubyMotionは1つの言語で2つのOSに対応することが可能です。Rubotと呼ばれるライブラリなどもありますが、RubyMotionも含めあまり一般的ではないので、自力で学習するには難しい可能性があります。
ブログ
Rubyを用いることで、ブログの作成もできます。ブログと言えば、WordPressを思い浮かべる人も多いと思うのですが、Rubyでも作成は可能です。WordPressとRubyでの開発にはどちらもメリット・デメリットがあり、WordPressを用いた方が圧倒的にスピードを早くかつ楽に作成できますが、Rubyを用いた方が、サイトが大規模になってきた場合に機能の追加がしやすいというメリットがあります。そのため、企業が本格的なブログを作る際はRubyを用いて作ることがあります。
チャットボット
チャットボットは、人間が音声や文章で入力したことに対し、自動で回答をする機能です。ユーザーの問い合わせや質問などを自動化することで、経費の削減や対応時間の短縮につなげることができるため、多くのサービスでも採用が増えてきています。Rubyでは「Lita」というライブラリを使ってチャットボットを作成することができます。
機械学習
PythonのツールをRubyで使用できるようにする「PyCall」と呼ばれるブリッジライブラリを用いることで、Rubyでも機械学習の開発ができるようになります。現在、Rubyには機械学習の開発ができる実用的なライブラリ機能がありません。そのためPyCallを利用して、Rubyに不足している機能を補っているのです。
WebAPI
APIとは、Application Programming Interfaceの略で、ソフトウェアやプログラム↔Webサービスの間を繋いだり、呼び起こしたりするインターフェースのことを指します。ECサイトの最安値情報やテレビの番組表などは、このAPIをプログラムから呼びだすことで情報を取得・表示させています。
ショッピングサイト
Rubyを用いると、決済処理が必要なオンラインショッピングサイトも作成することができます。spreeやsolidusといったライブラリを使うことで、決済機能を1から構築することなく、比較的簡単にサイトを作成することが可能です。
スクレイピング
スクレイピングとは、様々なWebサイトを巡回して情報を抜き出し、その情報を加工して新たな情報を作成するためのプログラムのことです。例えば、「競合他社のWebサイトから商品の情報を抜き出し、自社商品との比較表を作成する」、「売上情報を定期的に収集し、グラフをつくる」等があります。
スクレイピングを行うために1から構築を行うのはとても手間がかかりますが、Rubyパッケージである「Nokogiri」を使用すれば、簡単なスクレイピングなら1時間程度で作成することができます。
業務システム
近年Ruby on Railsは、出勤管理システムなどの社内管理システムにも使用されるようになってきました。開発スピードに定評があるRailsは社内の急速な要望にも柔軟に対応しやすく、必要に応じてすぐに機能を追加することもできます。
実際にRubyで作られているWebアプリの例
X (旧:Twitter)
X(旧:Twitter)は、Ruby on Railsを用いたアプリケーションとして非常に有名です。投稿・フォロー・いいね・リツイート機能などの基本的で様々な機能があります。
クックパッド
クックパットは皆さんも一度は使ったことがある方が多いのではないでしょうか。Ruby on Railsを用いてつくられた日本最大級のレシピサイトで、投稿のしやすさやアカウントの管理など、ユーザーが使いやすいように設計されているのが特徴です。
hulu
サブスクリプション型の動画サイトとして有名なhuluですが、こちらのバックエンド(システム側)にはRuby on Railsが使用されています。
その他Ruby on Railsで開発されたもの
その他にもRuby on Railsで作られているサービスは以下の通りとなっています。
Ruby on Railsが向いていないこと
エラーの特定
Ruby on Railsはコードが書きやすく覚えやすい事が特徴ですが、それゆえに内容が簡略化され過ぎてしまい、拡張機能の組み合わせや応用的な開発を行った際にエラーが特定しにくいという側面もあります。開発の自由度も高いことから、コードの管理者がいないと後々になって不具合が発覚することも多々あるようです。
機械学習にはPythonがおすすめ
PyCallを用いることで機械学習の開発ができないわけではないものの、やはり言語には得意・不得意があります。機械学習はPythonやR言語の方が機能的にも、ライブラリ的にも充実しているため、特別な理由がない限りPythonやR言語が開発言語として指定されることが多いでしょう。
スマートフォンアプリにはSwiftやJavaがおすすめ
スマートフォンアプリも同様で、通常スマホアプリの開発にはJava・Kotlin・Swift・Dart(Flutter)が用いられることが多く、Rubyが選択されることは多くありません。あえてRubyを用いたい場合や、どうしてもRubyを使用して開発したいなどの特別な理由がない限り、それぞれの開発に適した言語を使用しましょう。
Ruby on Railsのおすすめの勉強方法
独学での学習の一連の流れ
独学でプログラミングを学習する場合は、以下の流れで行うことが一般的です。
- 構文を参照する。
- サンプルコードを参照し、書き写してみる。
- オリジナル要素を追加してみる。
語学学習をイメージして頂ければ分かりやすいかと思います。まずは単語を覚え、例文を見てその単語が実際にどの位置でどのように使われているのかを参照し、練習します。Ruby on Railsもそれと同じで、最初にコードをざっと見て意味を覚え、実際のサイトなどでそのコードがどのように活用されているかを見ていきます。その後に、書き写したりアレンジしたりしながら覚えていくと効果的です。ちなみに、「Rails サンプルコード」等と検索すると沢山のサイトがヒットします。是非参考にしてみて下さい。
独学方法その1 学習サイトを利用する。
初心者の方におすすめな学習方法が、学習サイトを活用することです。プログラミングに関する基礎的な知識やコード、文法を学んでいく上で、一番手軽に始めることができます。Progateなど、無料or格安でプログラミング学習ができる教材を使って、できることから始めてみましょう。書籍に比べて文字数のボリュームも少なく、環境構築をしなくても学習ができるものが多いため、続けやすいのが特徴です。
独学方法その2 書籍学習
Webサイト・アプリで基本を学んだあとは、書籍を読んでより難しいポイントの学習を進めてみましょう。プログラミングの概念的な部分や、具体的なRuby on Railsの仕組みや機能を学ぶことで、更に理解が深まります。また、サンプルコード付きの書籍などもあるため、より実践的な内容を得たい場合にもおすすめです。
詳しい勉強方法は下記の記事も参考にしてみてください。
独学では厳しいという人に向けて
プログラミングスクール
独学で学習できるとはいえ、特に実践においては独学にも限界があります。近年、Ruby on RailsはWebアプリケーション開発の中でも欠かせない存在として多くの開発現場で使用されています。1つ言語を習得しておけば他の言語への理解度も格段に上がるようになります。Ruby on Railsは初心者の方におすすめの言語ですので、挫折を経験する前に是非一度スクールを受講してみることもおすすめします。Railsは人気度の高いメジャーな言語のため、多くのスクールで取り扱われています。
GeekSalon
GeekSalonでは、Ruby on Railsを使ったWebサイト制作を学べるコースが存在します。大学生限定のプログラミングスクールにはなりますが、料金も大学生に合わされているためリーズナブルにプログラミングを学ぶことができるスクールになっています。
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